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動作分析 ヘルスケアスポーツ

ユーザーインタビュー:国立大学法人 広島大学 大学院先進理工系科学研究所 生体システム論研究室 栗田雄一先生 

2025.12.09

主に人間の身体動作を工学的に計測・分析し、その理解に基づいて支援技術やインターフェースを設計する研究にOptiTrackカメラ「Prime 13」「Prime 13W」「Flex 3」、基幹ソフトウェア「Motive」、解析ソフトウェア「SKYCOM」をご活用いただいている、国立大学法人 広島大学 大学院先進理工系科学研究所 生体システム論研究室 栗田雄一先生にお話を伺いました。


国立大学法人 広島大学 大学院先進理工系科学研究所 生体システム論研究室 栗田雄一先生


栗田先生のご研究内容について、概要をお伺いいたします


(栗田先生)研究テーマは大きく三つの柱に分かれています。一つ目は指先など局所的な接触・圧力・動きに関する「触覚研究」、二つ目は立ち上がり・歩行・体操などの全身運動を対象とし、身体に装着して動作を補助する運動アシスト機構の設計と評価を行う「運動アシストデバイス研究」、三つ目は上半身の動きを使って遠隔ロボットなどを操作する「遠隔操作インターフェースの研究」を行っています。 



モーションキャプチャOptiTrackを知ったきっかけや導入に至った経緯をお聞かせください


(栗田先生)20年ほど前にはモーションキャプチャシステムというものを知っていましたが、その頃は「専用室に10台以上のカメラを設置し、数千万円規模の設備投資が必要」という大がかりな測定機材という認識でした。 
2018年に研究室を立ち上げる際、自身の研究分野はいずれも「人の動きを扱う」点で共通していることから、動作計測機材が必要でモーションキャプチャシステムについて調べていたところ、他の研究者からOptiTrackを紹介され、小規模から始められる手ごろさもあり導入をしました。OptiTrackは、過去の常識を覆す存在として非常に驚きましたね。 



OptiTrackをどのように活用されていらっしゃいますか


(栗田先生)人の身体動作を支援・補助する運動アシストデバイスの研究を行っており、高齢者や身体機能が低下した人に対して、立ち上がり動作や歩行、体操などを支援し、安全で自然な動きを実現することを目的としています。 
このアシストデバイスの有効性を検証するために、被験者の動作をOptiTrackで高精度に計測しています。研究室には床反力計を内蔵したトレッドミル(歩行計測装置)が設置されており、OptiTrackで得られた身体動作データと同期して、歩行中の床反力を同時計測しています。データを組み合わせ、筋骨格シミューレションソフト「Any Body」で解析することができ、特定の筋群(大腿四頭筋やハムストリングスなど)がどの程度動いているかが推定できており、アシストデバイスが「どの筋肉の負担を軽減しているか」「姿勢やバランスにどのような影響を与えているか」といった点を定量的に評価できています。 

また、広島大学に設置されている「コベルコ建機夢源力共創研究所次世代インタフェース共同研究講座」で実施している、建設機械の遠隔操作に関するインターフェースの研究にもOptiTrackを活用しています。 
この研究では、操作者がモニタ画面を見ながら建機を遠隔操作する際の上半身の動きや姿勢をOptiTrackで計測しています。操作入力時の腕や体幹の動き、操作負荷による姿勢の変化などを3次元的に取得し、操作しやすさや身体的負担との関係を評価しています。 

他にも、バーチャルリアリティ(VR)を活用したリハビリ支援研究にも活用しています。 
リハビリテーション分野では、従来筋力回復や可動域訓練を中心とする訓練手法が一般的なのですが、その後ある程度身体が動くようになっても、日常の生活動作への移行には大きな身体的・心理的ギャップが存在します。この「現実動作に移る前の中間的段階」をVR空間内で行い、実際に大きく身体を動かさなくも、視覚的・感覚的に日常動作を疑似体験でき、身体だけではなく心理面にも働きかけることができます。 
このVRリハビリ実験では、利用者の動作をリアルタイムでVR空間内の身体モデルに反映する仕組みを採用しており、OptiTrackをはじめとするモーションキャプチャ技術が活用され、実際の足の動きや姿勢を高精度に計測し、仮想空間上の身体の動き(アバター)に同期させています。たとえば、被験者がその場で足を一歩前に出すと、VR内のアバターは階段の一段下に足を下ろすように見えます。これにより、実際は平面上にいながらも階段を下りている、という身体錯覚を生み出すことができます。このリアルタイム動作の反映は、単に映像を見せるだけでなく、身体の動きを伴った学習効果を引き出すうえで重要な要素となっています。 


歩行時の身体計測をOptiTrackで行い、トレッドミルから得られた歩行中の床反力も同時に計測している


OptiTrackをご活用いただいている中で、これは利点だなと感じられるところはございますか


(栗田先生)少数台数からの運用が可能であったため、研究室立ち上げ当初は最少構成からはじめ、その後研究の進展や予算獲得に応じてシステムを拡張することができたところですね。必要なときに必要な分だけ導入できるのは大変助かりました。 
また精度が高く、データ連携性も十分に高いので、非常にコストパフォーマンスが良いなと思います。 

特に大学予算は限られているので、段階的に拡張が可能なところは非常に魅力的です。 

また、学生からはモーションキャプチャスーツの上からベルクロテープでのマーカー固定が直感的で使いやすい、操作性が高い、という声があがっています。 



今後、OptiTrackを用いて取り組まれる研究やプロジェクトのご予定があればご紹介いただけますでしょうか 


(栗田先生)研究室には、企業からの研究相談が多数寄せられています。例えば、熟練者の動作解析や技能伝承、製品評価の定量化など、様々な身体動作に関する相談をいただきます。その中でも研究としての発見や学術的意義が見込めるかを重視しながら、研究価値と社会的応用を両立させる形の産学連携を進めています。 
動作解析の研究においてOptiTrackでの高精度なモーション解析が欠かせないので、これからも活用していきたいと思います。 


動作解析の研究においてOptiTrackをこれからも活用します、と栗田先生

最後に、OptiTrackやアキュイティーへのご期待やご要望がございましたらお聞かせください


モーションキャプチャ技術の発展において、OptiTrackのような据置型システムとモバイル環境を連携できる仕組みが今後必要になると考えています。 
研究ではOptiTrackで高精度に解析を行いますが、その成果を社会実装や一般利用者向けサービスに展開するには、手ごろなスマートフォンアプリなどのモバイル環境に移す必要があります。それぞれ仕様が違うので、同じ機能を再現するだけで大きな手間がかかっています。 

今後、OptiTrackのような高精度環境で研究・開発したものを、一般の方でも使いやすいモバイル環境へスムーズに展開できるような技術開発を進めてもらえたらいいなと思います。 
「モーションキャプチャの民主化」といいますか、モーションキャプチャ技術の社会実装の後押しを是非アキュイティーさんには進めてもらいたいですね。 




貴重なお時間を頂戴し、ありがとうございました。


アキュイティーでは、これからもモーションキャプチャ技術をはじめとした先端技術を活用して、あらゆる業界の進化に寄与してまいります。
研究・開発分野におきましても、惜しみなく経験や知見を提供し、みなさまとともに人と社会の成長に貢献できるよう引き続き活動してまいります。


今回インタビューさせていただいた先生のご紹介

国立大学法人 広島大学 大学院先進理工系科学研究所 生体システム論研究室 栗田雄一先生 

▼ 広島大学 生体システム論研究室 栗田雄一先生
https://www.bsys.hiroshima-u.ac.jp/kurita/
▼ コベルコ建機夢源力共創研究所
https://www.dream-driven.hiroshima-u.ac.jp/
▼ 条件不利地域にも運動アシストなどの新しい工学技術を生かしていく必要性
 (広島大学大学院 リーディングプログラム機構 たおやかで平和な共生社会創生プログラム)
https://taoyaka.hiroshima-u.ac.jp/interview/kurita.html
▼ 栗田先生が大会長を務める 第26回計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会 が広島県広島市 広島国際会議場にて開催されます。
https://sice-si.org/si2025/


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